Zwangsvollstreckung

執行とか、本とか、出来事とか。

こんにちは。ドアを開けてください。

3連休。

転職をしてから、労災と有休消化以外で3連休を取ったのははじめてだ。

(前の会社は、年末年始も有休消化して休みを取るような会社だった)

3日も休むと、すごく体がリフレッシュされる。本当に、定期的に連休を入れて、思いっきり休む機会を設けた方がいいんだなと感じる。一年は長いのだし。

 

前の会社では、一応、法人だったり司法だったりを相手にしていたので、こういう祝日に出勤する必要はさらさらない。けれど、会社として、祝日は休日とされていないので、仕事がなくても働きに出なければならない。

 

そういう時、祝日にやっていた仕事は、「現況調査」と呼ばれるものだった。

調査といっても、そんな大逸れたものではない。ただ、現場となる家に行くだけだ。

 

もともと僕は、前職で執行補助者と呼ばれる仕事をしていた。簡単にいうと、強制執行の事件が起きた時、現場で裁判所の人の指示に従ってあれこれ作業をする人だ。権力を作動させるのは裁判所の人だけど、その実力行使の部分を担う役割とでもいうのかな。僕は建物の明け渡しをよくやっていて、そのケースでの実力行使というと、家の中のものを全部持っていってしまうということになる。

作業をするといっても、僕自身が直接作業をするわけではなく、監督的なことをする方が多い。ただ、その分、書類を用意したりだとか、事前に事が円滑に進むように働きかけたりしなければならない。

「現況調査」と呼ばれる活動も、その事前の働きかけの一部だ。

 

で、現況調査とは、どんな活動なのかというと、別に大したことではなく、インターホンを押して、「こんにちは。ドア開けてよ」っていうだけ。

そうやって、出てきたら、話を聞いて同情して…出て行く予定があるのかどうかを確認するといった作業になる。今思うと、訴訟を起こされて、実際に退去までのリミットが強制的に決まっている人に対して、

「よっ!元気?」

ってノコノコやっていくんだ。普通に考えたらこれほど恐ろしいことはないと思う。実際、僕の同僚にも怖いと思う人はかなりいた……と思う。なんだかんだ僕にその担当が回ってくるのは、そういう事情があったのだと思う。

 

僕としては、別に怖くはないのだけれど、この現況調査が嫌だったのは、いつ帰ってくるかもわからない本人をひたすら車の中で待ち続けなければならないことだ。帰ってきたら捕まえなきゃいけないので、寝てるわけにもいかない。かと言って、特にすることもない。ただただ時間を浪費していく感覚が大きかったのがとても嫌だった(そういう特性を利用して、よくサボっていた人もいたけれど)。

 

そんな活動なのに、どうしてそんなことをやらなければならなかったのかというと、一つは、すでに退去していることを把握できれば、当日の作業がすごく楽になる事が前もってわかり、人員や車輌を削減した上ですぐに当日の作業を終わらせられるから。あとは、現場がどうなっているのか、という不安を払拭するため。だいたいこんなもんだと思う。

 

とはいっても、そうやって当日のコストを削減したところで、次の仕事もそんなにあるわけでもなかったので、実際、時間に見合っただけの効果があったかと言われるとそうでもない気がしていた。そう思ったので、僕は最後の方で、電話でのやり取りに切り替えたけど…。

 

まあ、本人としても、普段は働いている中で、せっかくの祝日に色々やろうとしているのに、突然の訪問に対応し、嫌な話をしなければならないのだから、それはそれはストレスだったろうなあとは思う。調整がうまくいけばいいけど、調整に失敗した人は、本当に「二度とくるな!」って言われて、あとは当日まで状況がわからなくなって、厄介案件入りしたこともあったし…。

 

仕事としては、現況調査って、現場に行きまくってしまうとあんまり生産性もなくて、あまり意義を感じない活動だったけれど、割とそこでのやりとりとか打ち合わせは、案件を裏で動かして行くということで、話としては面白かったりする。確かに、案件を円満に終わられられるかどうかは、現況調査のうまさに関わってくるのは、そうだ。

 

そんな感じの活動を、これまでの祝日にやっていたなーと思い出した。

また、思い出して書きたいと思う。戻りたいとは一切思わないけれど(笑)